ストーリー -Silky Wind-
リズム株式会社は70年間ひた向きに
時計を作り続けてきました。
そんなクロックメーカーが
どんなハンディファンを作り始めたのか。
今回はそんな開発ストーリーを
ご紹介いたします。
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28℃
2011年3⽉11⽇、東⽇本⼤震災。
エネルギーが逼迫したことで
以前にも増して省エネ化が進み、
環境に配慮してオフィスの室温は
28℃に設定されることが多くなりました。
茹だるような熱い屋外からオフィスに戻ると28℃は
過酷な温度です。
そんな2011年、夏場のオフィスで私たちは
新商品のアイデア出しをしていました。
「体感温度は⼈によって違う。
省電⼒でパーソナルに涼むことはできないか。」
省電⼒のUSB電源を使⽤しつつ、
クロックで培った省電⼒技術を使った新商品を
検討していた私たちは、
USBファンにたどり着きました。
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⼩さなUSBファンから強い⾵を
その当時「USBファン」は既に存在していましたが、
本当に涼しい⾵の出るUSBファンは
ありませんでした。
強い⾵を出すには⽻根径を⼤きく作るというのが
⼀般的な常識ですので、
デスクで使⽤するために邪魔にならない
⼩さなUSBファンでは⾵⼒は出せませんでした。
「この⼩さなサイズのUSBファンから強い⾵が
でたらすごくない?」
⼀⼈の技術者の⾔葉から、
⼩さな⽻根で強い⾵を出すための開発が始まりました。
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2枚の⽻根
⼩さな⽻根で強い⾵を出すには
どうしたら良いだろう。
技術者は世の中のさまざまな⽻根を調べました。
そこで⾒つけたのが船のスクリューです。
スクリューの⽻根は2枚。
2重反転構造になっていて、
前の⽻根からあふれた無駄なエネルギーを
後ろの⽻根が拾い
有効活⽤することができるため、
⼩さな⽻根でも強い推進⼒を発⽣させることが
できるのです。
モーターや⽻根が2つ必要になるコスト、
最適な⽻根形状や前後モーターの回転速度の調整など
技術的問題もあり
2枚⽻根の扇⾵機は実⽤化されておりませんでしたが、
⼩さなUSBファンを⽬指して開発を続けました。
からくり時計で使っていた
制御技術もフル活⽤させ、
ついにデスクで使⽤できるサイズの
⼩型USBファンの開発に成功し、
2012年、パワフル・静⾳・省エネを実現した
USBファン
「Silky Wind」が発売しました。
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うちわ?
デスクで使⽤できパワフルな⾵が出る⼩型の
USBファンは評判が⾼く、
ここからリズムのファンの展開が始まります。
「デスクにとどまらず、持ち運びもできる
ハンディファンがあればもっと役⽴たないかな?」
そんなアイディアから開発したのが
2016年に発売した「モバイルうちわ」です。
携帯するには本体の厚みを薄くする
必要がありましたので、
⽻根を⼤きく、薄く作るために技術者たちは
試⾏錯誤を繰り返し、
何⼗種類もの試作品を作り、
やっとのことで薄型の2重反転ファンの開発に
成功しました。
今ではハンディファンが⼀般的となっていますが、
発売当時はそんな商品もなく、
名前のとおりうちわのような⾒た⽬の商品に
抵抗をもつ⽅が⼤半でしたが、
海外市場での評判は⾼かったようで、
⽇本の市場にもハンディファンが増え始めました。
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⼤⼈のためのハンディファン
「最近ハンディファンを持つ若者が増えてきたね。」
社内でもびっくりするほどハンディファンは
⼀般的になりつつありましたが、
⼤⼈が使うにはまだ抵抗感がありました。
「今度は外でも抵抗感のない、
⼤⼈でも使える商品にしたい。」
そんな想いでさらなる⼩型化を⽬指しました。
⼩型化を⽬指す上で⼀番⼤きかったのが
リチウムイオン電池との出会いでした。
もともと5Vで作っていたものが、
リチウムイオン電池を使⽤することで9Vに。
⽻根が⼩さくても⾵量を持たせることが
できるようになったのです。
形状については何回も検討を重ね持ち運び
しやすい形状を模索しました。
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カラビナ
ハンディファンを⽇常使いしていると、
必要になる時と不必要になる時があることに
気付きます。
灼熱のアスファルト、ホームでの電⾞待ちで、
ハンディファンは⼤活躍。
⼀⽅で電⾞の中や店内など、
クーラーが効いている場所では途端に
ハンディファンが邪魔になります。
かばんにしまったり、出したりとせわしない。
「必要な時にさっと使え、
不要な時はすぐになくなる。」
そう思ったときに、思い出したのが
「カラビナ」です。
ハンディファンとカラビナを⼀体化させて、
不要な時はかばんにつけられるようにできれば
さらに便利になる。
そんな企画者のひらめきから、
2019年「Silky Wind Mobile」、
2020年改良を加えた「Silky Wind Mobile 2」
が相次いで発売されました。
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新モデルは「3way」
新しいモデルはさらに快適な商品を⽬指しました。
夏の暑い時期に、
⼀⽇中もっと寄り添い役⽴つ道具にならないか。
朝、通勤の際は、ハンディファン。
出社すると⾃分のデスクでデスクファンに。
会議に移動し、そのままデスクファン。
⽇中の猛烈な暑さの中の外出は、ストラップでハンズフリーファンに、、、。
くらしの様々なシーンに寄り添うハンディファン。
そのために考え抜いたのがファングリルが
⾃由に可動し⽌まる機構でした。
持つ時にはまっすぐに、置く時には無段階⾓度調節。
⾸にかけても歩いていても、
⾸や顔にしっかり⾵を届けることができ、
110°まで折り曲がる。
本体がそのままスタンドになるので、今まで必要
だった別パーツのスタンドが不要になりました。
理想の機構にたどり着くため、
苦労したのが「強度と⼤きさ」です。
必要充分な強度を持たせながら
スマートなデザインに整える。
デザイナーと設計者はどちらも妥協しないやりとりを
繰り返し、理想のヒンジ形状が出来上がりました。
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ヒントはパラコード
ハンズフリーで使⽤する際のストラップにも
かなりこだわりました。
本体とストラップを⼀度つけたら外しづらいものは
使いづらいですし、
⾒るからに付属品のようなチープなものは
⾸から掛けたくありません。
「ハンズフリーをもっとスマートでアクティブな
存在にしたい」そう考えたどり着いたのが
アウトドア商品に使⽤されているパラコードです。
カラビナと組み合わせると
驚くほど着脱が簡単でスマートに。
こうして2022年に3Wayで使えるコンパクトファン
「Silky Wind Mobile 3」が誕⽣しました。
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全ての⼈に快適な夏を
こうして⽣まれたリズムのSilky Windシリーズは、
さまざまな⼈に快適な夏を届けられるよう、
試⾏錯誤を繰り返して作り上げた商品です。
今回は、その開発までの想いや経緯を
ご紹介できればと想い、
エピソードとしてこちらに記しました。
今年も暑い夏がやってまいりますが、
Silky Windシリーズで快適な夏をお過ごしください。
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