Story ストーリー

MIST Mini

「くらしのリズムを整える」をパーパスに開発された「MIST Mini」。
着想から、開発に至るまでの裏側を公開します。

左から初号機、2代目、3代目「MIST Mini」

時計製造の技術を活かして「パーソナル空間を快適に」

リズム株式会社は約70年間ひた向きに時計を作り続けてきました。
時計の製造で培ってきた知見を活かし、
「くらしのリズムを整える」ことに貢献したいと考えています。
私たちリズムの社員はメーカーの人間であるとともに、生活者の一員です。
そのため、常に身の回りを観察し、不具合や潜在的なニーズがないかを考えています。
「くらしリズムを整える」ためには、体調管理がとても重要です。

冬のある日、一緒に働いている女性スタッフが自席で使用していた市場で購入した
小型加湿器が数カ月で壊れたと私の元へ持ってきて直せないかと相談されました。
興味本位で分解をすると、メッシュ式の振動子を採用され、
細かいメッシュに不純物が詰まり加湿しなくなっていました。
なぜ自席で加湿器を使用しているのかと聞くと
「オフィスが乾燥していて、喉やお肌のために少しでも加湿したい」とのことでした。
加湿性能を確認すると加湿量20ml/hと加湿性能が非常に少なくおもちゃのような設計でした。
よし、しっかり加湿ができるパーソナルな加湿器を作ろう!
こうして2017年の秋に開発がスタートしました。

もともと、2012年より春夏には「パーソナルに涼む」ことができる
2重反転ファンを採用したUSBデスクファンやハンディファンを開発、販売し、
好評を得ていたこともあり、今度は秋冬に役立つ「パーソナルに加湿」する道具の開発への挑戦でした。

Silky Wind シリーズ

はじめての加湿器

時計メーカーである私たちは、もちろん加湿器を作る技術を持ち合わせておりません。
技術者たちは、さまざまな加湿器を研究します。
加湿方式は、どの湿度でも加湿能力が高く、やけどの心配のない超音波式を採用しました。
加湿器は水を空間に放出して湿度を上げる道具なため、毎日「新鮮で綺麗な水」に入れ替え、
加湿することが重要です。そのため、水の入れやすさ、洗いやすさを最優先に開発しています。

最初に直面した問題は加湿量の少なさです。
市場にあるものは加湿量の少ないものばかり。
リズムは、パーソナル空間でもしっかり加湿できるよう、加湿量100ml/hを目指しました。
開発初期は狙った加湿量を実現できず、何度も改良を重ねました。
一方で加湿量を増やすと床が濡れやすくなる問題もありました。
そこで、シルクのようなきめの細かい霧で加湿できるよう霧のサイズをコントロールし、
床が濡れにくい加湿器を実現しました。
霧の粒子が細かくなると、今度はあらゆる隙間から霧があふれ出る問題も発生しました。
ひとつひとつ丁寧に設計を見直し、ようやく納得のいく加湿量の加湿器ができ始めました。

加湿量の検査

パーソナル加湿器としてのあるべき姿

パーソナルな加湿器としての佇まいはどうあるべきか。
加湿器は、水を霧にして湿度に変える道具です。
8時間の就業時間や睡眠時間に加湿をするために必要な水の量、「400ml」。
この水を美しく存在させるため、透明なタンクを採用しました。
透明なタンクであれば、水の残量も一目で分かります。

オフィスで使用する場合、自分はもちろん、働いている仲間の視線も気になります。
使いやすさと佇まい、どちらも外せない、バランスの良さが重要です。
360度どの方向から見ても美しいこと。
必然的に円柱をベースとした形状になりました。
もちろん、持ちやすさの面でも円柱にしています。

さまざまな工夫を凝らし、2018年にリズム初の「コンパクト加湿器」を発売しました。

スケッチとMIST Mini

くつろぎのコンパクト
加湿器 MIST Mini

時計作りが原点である私たちが大事にしていること、それは「時間の過ごし方」についてです。
私たちが提案する商品を通じて、
日常生活に心穏やかな一瞬がもたらされること、
私たちはその瞬間を「くつろぎの時間」と名付けています。
超音波式の加湿器は加湿する際に見せる霧の表情は、
まさに「くつろぎの時間」をもたらしてくれます。

アロマポケットにアロマオイルを垂らせば、香りを楽しむことも。
シルクのようななめらかな霧が、香りを運び湿度に変わることで、
心地の良い空間を生み出します。

あかりのデザイン

MIST Miniのあかりは、「くつろぎの時間」を提供するろうそくをイメージした暖色のあかりを採用しています。
くつろぎのあかりを実現するためにも様々な工夫がありました。

ホワイトの本体色にあかりを灯すと、本体から光が透過してしまいました。
これでは、商品になりません。
そこで、照明用の遮光材を採用することに。
ホワイトの本体色でもあかりが透けにくくなり、商品化が実現しました。

そもそもこの「あかり」、技術者が試作品を作っている際に、
超音波振動子で水から霧に変わる水柱に光を当ててみたら、
とっても美しいことに気づいたことから採用が決まりました。
ピュアな技術者の遊び心がリズムらしい「くつろぎの時間」につながっています。

あかり色評価の様子

3つのカラー

MIST Miniの本体色は、ホワイト、ブラック、コッパーです。
ホワイトとブラックは、鉄板の定番色。
カラーの検討に当たっては、ターゲットユーザーに近い価値観の社員にアンケートを取り、参考にしました。
特に人気の高かったカラーは、意外にも「コッパー」でした。
「高級感がありながら、暖色で部屋のインテリアにもなじみやすい」
という意見が多く集まりました。

配色検討

地球への配慮

パッケージに関しても、以前のホワイト色の段ボールからクラフト色の段ボールに変更をしています。
段ボールは、日本で最もリサイクル率の高い素材の一つです。
少しでも段ボールのリサイクル率を上げるため、
誤ってごみで捨ててしまう可能性のあるホワイト色の段ボールから、
誰が見ても段ボールと分かるクラフト色の段ボールを採用し、
少しでもリサイクルの輪が大きくなるよう配慮しています。

クラフト色の段ボールに2色の印刷をしていますが、
本体色の印刷が下地のクラフト色を拾ってしまうため、
色の再現が難しく色合わせに苦労しました。

左からMIST100、MISTMiniパッケージ

さらなる改良

MIST Miniは、アロマの香りを感じやすくさせるためファンを変更し、
風の通り道を変えました。
アロマポケットを経由して霧が噴霧するよう調整することで、
よりアロマの香りが感じやすくなるように改良しています。

2世代にわたりコンパクト加湿器の改良を重ね、
霧化を効率的に増やす技術を構築。
消費電力を前機種から約53%(約18Wから約8.4Wへ)削減することに成功しました。

まったくノウハウのない状態から2つの加湿器を経て2022年、
待望の「MIST Mini」が発売されました。

くつろぎの時間を

こうして生まれたリズムのコンパクト加湿器は、
さまざまな⼈に快適な湿度を届けられるよう試⾏錯誤を繰り返して作り上げた商品です。

今年も乾燥の季節がやってまいりますが、
MIST Miniで快適な一日をお過ごしください。